風見篤史のブログ


by akazami
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カテゴリ:映画( 50 )

2010年12月20日(月)
不可解な人デビット・リンチ
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どうやら映画モードに入ってきたようだ。
僕は理由はよく分からないがなんらかのバイオリズムによっていろいろなモードに切り替わる。音楽モード、映画モード、読書モード、酒モード、恋愛夢想モード、過食モード、過眠モード・・・・。気が付くと勝手に趣向チャンネルが切り替わっていて、「あっ、今映画モードにきてる」と大体は後から分かる。

DVD『ワイルド・アット・ハート』(監督:デビット・リンチ)を鑑賞。
僕はみんながイイというが、どうしても苦手な監督が何人かいる。コーエン兄弟。塚本晋也。そしてこのデビット・リンチだ。みんながうまいと言うしすごく、確かに美味しそうだから食べてみると意外にマズい。でも新しいメニューがくるとやっぱ美味しそうなので「今度は?」と食べるとやっぱマズい・・・そういう感じの監督が僕にとってのリンチ。

『イレイザー・ヘッド』『ブルー・ベルベット』『ツインピークス・TVシリーズ』そして極めつけの『マルホランド・ドライブ』・・・。その独創的なリンチワールドは不可解で不気味で不明瞭で不条理・・・。全部「不」が頭文字について回る人なのだが、いつも彼の映画を観てみると、なんていうか後味が悪いのである。決して悪い作品ではないのだろうけど、生理的に合わないのだろう。

作品世界はものすごく狂っているのだが、きっとリンチ本人は全く狂気とは反対に頭脳明晰でクールな思考の持ち主のような気がする。好きじゃないのになぜかまた観たくなる・・・。



c0107704_22195148.jpg『ワイルド・アットハート』(1990年/アメリカ)
監督:デビット・リンチ   ★★☆
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by akazami | 2010-12-20 22:27 | 映画

『右側に気をつけろ』

2010年12月15日(水)
『右側に気をつけろ』
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VHS『右側に気をつけろ』ジャン=リュック・ゴダールを鑑賞。
ゴダール80年代の隠れた傑作がこの『右側に気をつけろ』。
とにかく鮮烈なゴダールらしい原色映像イメージも、物語をと遠く離れズタズタに再構築された音響設計も最高度にゴダール/ソニマージュであり、僕は観ていて物語の理解などを超えて(最初からストーリー展開など気にしていない)直接脳や感情にビリビリくる真に芸術作品としてこの映画を”体感”した。

空港でのシークエンスはドタバタコメディーであり、リタ・ミツコのシーンではドキュメント風、白痴のシーンは難解な寓話ファンタジー。これがゴダールの天才的な編集感覚でリミックスされPOPな仕上がりとなっている。まぁこんなまともに物語などない映像音楽リミックス実験映画を簡単に撮りきってしまうのは世界広しと言えどもゴダール先生しかいない。

僕はこの『右側に気をつけろ』が大好きである。物凄いレベルで表現された素晴らしい芸術作品。芸術としての映画の持っている”本質的な価値と可能性”を見せてくれている気がしてならない。


c0107704_162755.jpg『右側に気をつけろ』(1989年/フランス・スイス)
監督:ジャン=リュック・ゴダール ★★★★
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by akazami | 2010-12-16 01:07 | 映画
2010年12月11日(水)
映画『ノルウェイの森』を公開初日に観る
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公開初日の映画館はガラガラ・・・。
田舎の人間が村上春樹なんか読むわけないのは容易に想像できるが、映画公開初日の土曜日に僕を含めて7人ていうのはないだろう。恋人同士はなぜ観にこない?恋愛映画だしデートに最適じゃないのか?村上春樹作品の映画だぞ・・・。

映画はあまりパッとしない、いや全くパッとしない作品の出来であった。村上春樹愛読者として期待度が高すぎたきらいあるけれども、しかしながらひどくよくない・・・。やはり原作モノの映画化で原作を映画が上回ることは非常に稀で、大体が失敗に終わる。この映画もそうで、文学作品としての原作の美しさを全く表現できていない上、原作の物語をほぼその通りになぞっただけで、映画・映像作品としての「面白さ、美しさ」を失っている。

まず主要登場人物の2人(直子と緑)がひどい。これは明らかなキャスティングミスだろう。両者とも僕の描いている原作のイメージからははるかに遠く、菊池凛子は演技はうまいのだろうけれども演技以前に被写体として僕はイイと思ったことは一度もない(はっきり言うと嫌いである、この人は『バベル』以前に熊切さんの『空の穴』の時からずーとダメ)。対する緑役の水原季子も同じくひどかった・・・。演技が下手なのは差し置いても、被写体として全く魅力的でない。

リービンピンの透明感ある映像と60年代後半を再現した凝りに凝ったインテリアやディティールファッションはとっても魅力的だったが、それ以外はほんとに・・・つまらない映画だった。監督の力不足が原因で失敗作になっているのではなく、そもそも村上作品の魅力は文学の美しさ、小説ならではの面白さであって映画には向かないのかもしれない(大森一樹の『風の歌を聴け』もひどかったし・・・)


村上春樹と映画。共通項がありそうでやはり水と油なのかも。相性の問題なのか?


『ノルウェイの森』(2010年/日本)
監督:トラン・アン・ユン
★☆
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by akazami | 2010-12-11 17:46 | 映画

このレースの先頭集団

2010年11月24日(水)
このレースの先頭集団
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観たい新作映画がたくさんある。
超1カットの奇跡は起きているのか?と気持ちが入る松江君の『ライブテープ』。斜に構えて見ても秀作の予感漂う李相日の『悪人』。なにやらすでに狂気を感じる柴田剛君の『堀川中立売』、魅力的なロケ地を手に入れ宇治田さんの話法と熊切さんの感性そして実力が久々に炸裂していそうな『海炭市叙景』、そして何と言っても注目は、ノンフィクションの原作を元に2大スターを登場させ全共闘の時代のエネルギーに真っ向からぶつかり、それをオリジナルな物語と文体でで描いてくるのであろう山下&向井君の『マイ・バック・ページ』。

そうこの終わりなきレースは、第2ステージも彼らが先頭を走っている。しかし、まだ折り返し地点にも来ていない。観客でいるのかゼッケンを付けるのかは自分次第。最後に何が起こるかは競技場に入るまで誰にもわからない。
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by akazami | 2010-11-25 00:55 | 映画
2010年11月5日(金)
『ゴダール・ソシアリスム』公開
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ゴダールの最新作『ゴダール・ソシアリスム』の日本公開が12月に決まったらしい。日比谷のTOHOシネマズ シャンテ(ちなみ偶然、今日仕事の途中でその劇場の前を通ったばかりだ)。これは是が非でも劇場に駆けつけねばいけない。ゴダールの最新作をリアルタイムで、映画館の大画面とドルビーサウンドで、観なければいけない。あー、胸が躍るのさ。

話題になっているのはカンヌ映画祭に出品されながらに本人が姿を見せなかったこと以上にその予告編である。100分程の長さの作品のすべてが約70秒ほどに圧縮されて見せられる。簡単な話、狂ったようなスピードの早送りで全部見せてしまっているのだ。これは観てみるといやはや”すごい”の一言、圧倒的なイメージの連続が超高速で過ぎ去っていく。さすがは前衛芸術家ゴダール、もはや普通の予告編など作らないのだ。


今年の12月は誕生日と共に、忙しく芸術的なクリスマスになりそうだ。



【YouTube】
『Film Socialism』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=gNMl-pKT_88
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by akazami | 2010-11-05 22:17 | 映画

『女は女である』

2010年11月1日(月)
『女は女である』
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先週末の悪夢から脱出し、また今週が滑り出した。最近は車での移動が多いので、ipodをFMトランスミッターで繋ぎ、ずっと音楽を聴いているのだが、さすがに何時間も続くと耳も苦しくなってくる。しかし、僕には音楽が常に必要なようで、田舎の人の多くがパチンコ屋でお金を使うように、僕はTSUTAYAとamazonにお金を使う。

VHS『女は女である』監督:ジャン=リュック・ゴダールを鑑賞。
ゴダール初のシネマスコープ・カラー映画で、登場人物が歌を歌わないミュージカル喜劇。
ゴダールの映画はみんなキュートだけれどその中でも特に可愛く特別ファニーな作品。冒頭からラストまでカラフルな色彩が溢れ出していて、ファッショナブルなアンナ・カリーナが所狭しと動き回る。洗練されたデザイン性を持って配置された色彩の洪水で、観ている僕の目もキラキラしてくる。

そしてアンナ・カリーナにも増して重要なのがその音楽。若き天才ミシェル・ルグランのハッピーな楽曲がブツブツに分断されて全編を覆っている。80年代以降に顕著になる音楽の脱構築(ソニマージュ)の感性が監督第3作でもすでに表れている。音楽の暴力的配置。このジャジーでミュージカル風の陽気な音楽が映画全体にバラバラに散りばめられているので、登場人物が歌わずとも“風変わりなミュージカル映画”として存在させてしまっているのである。

しかし、なんて可愛らしい映画だろう。まさにPOP映画の金字塔。天才的な色彩設計家ゴダールが華々しくカラー映画に登場した記念すべき作品である。


c0107704_2321812.jpg『女は女である』(61年/フランス)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
★★★☆
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by akazami | 2010-11-01 23:28 | 映画

『ノルウェイの森』002

2010年9月19日(
『ノルウェイの森』002
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予告編がアップされた。
残念ながら今年のヴェネチア国際映画祭での受賞は逃したみたいであるが、透明感溢れるシネスコのイメージを観ると、大いに期待が募ってきた。
(ちなみに金獅子賞を獲ったソフィア・コッポラの新作『SomeWhere』も大いに観たい)



映画『ノルウェイの森』
【公式HP】
http://www.norway-mori.com/
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by akazami | 2010-09-19 14:02 | 映画

『ゴダールの探偵』

2010年9月8日(水)
『ゴダールの探偵』
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昨日の体調不良から回復。
どうしても仕事をしていると疲れがたまってしまうようだ。無理しすぎないように自己管理をしっかりせねばいかん。とにかくこの”自己管理”を身につければ、いろいろ状況でよい判断や行動ができるだろうし、周りからの信頼も得れるに違いない。

VHS『ゴダールの探偵』(監督:ジャン=リュック・ゴダール)を鑑賞。
これが予想通りというか、う~んよくない。フィルムのワールの密室劇ということだが、登場人物が多過ぎて何が誰だか人間関係もよく分からないし、物語もほぼ理解できない・・・。
60年代の原色に彩られ高度に洗練されたゴダール特有の映像デザイン性はほとんど見られず、ホテル内の暗い照明の中であまり魅力的とは思えない俳優たちがうごめいている。

その中でも10代の頃のジュリー・デルピーは抜群に美しい。僕の中の数少ない映画女優の一人だ。彼女の透明感のある表情や何も見ていないような空虚な瞳は本当に稀有なもので、特別の美人というわけではないのだが、この女優の顔を一度見たら忘れられなくなる。  (写真は彼女)

映画のデザイン性を持ってゴダールを観ている僕としては、POPな要素が少ない80年以降のゴダールを理解し、感じることができないのではないか・・・。『右側に気をつけろ』などまだまだ未見の作品あるのだが、少し不安が過ぎった。


c0107704_5572626.jpg『ゴダールの探偵』(85年/フランス)
監督:ジャン=リュック・ゴダール   ★
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by akazami | 2010-09-08 06:03 | 映画

『東風』『万時快調』

2010年9月5日(
『東風』『万事快調』
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昨日昼寝をしてからゴダール映画を2本、鑑賞。

VHS『東風』(監督:ジャン=ピエールゴラン/ジャン=リュック・ゴダール)
VHS『万事快調』(監督:ジャン=ピエールゴラン/ジャン=リュック・ゴダール)

この時期(ジャン=ピエールゴランと組んだ「ジガ・ヴェルトフ集団」名義で政治映画を発表)のゴダールは好きではない。同じ政治映画でも『中国女』はゴダールの原色溢れる映像センスと毛沢東ナイズされたキャラクターたちが政治について延々と討論してる様子がとてもユーモラスでPOPなデザイン映画で好きな作品であるが、ジガ・ヴェルトフ集団時期の作品は”頭でっかち”で映画的魅力はあまり感じないのだ・・・。

しかし、『万事快調』の労働者のストの工場をばかでかいミニチュアのようなセットは面白い。そこで「あーでもないこーでもない」で騒ぎまくる人々がまるでおもちゃの人形のように見えてくる。そしてゴダール特有のトリコロールでデザインされるタイトル字幕のタイポグラフィーはやはり秀逸。

劇映画から離れていた70年代のゴダール作品は完全に”思想・政治”の映画であり、芸術としての映画からは遥かに遠ざかっている。そこには60年代の前衛的な躍動感と高いデザイン性に満ちた映画的な魅力は薄く観ていてしんどいばかりである・・・。

劇映画の監督ゴダールとしての帰還は、1979年発表のの『勝手に逃げろ/人生』を待たねばならない。この80年代以降のゴダール作品はあまり観たことがないので楽しみである。


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『東風』(69年/フランス)
監督:ジガ・ヴェルトフ集団
★★


c0107704_3275476.jpg『万事快調』(72年/フランス)
監督:ジガ・ヴェルトフ集団 
★★☆
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by akazami | 2010-09-05 03:37 | 映画

呉美保の新作

2010年9月5日(
呉美保の新作
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Hanaちゃんという大学の同級生から「『ノルウェイの森』の制作主任やってたんだよー」などというコメントをもらうとホントに嬉しくなる。彼女は才女で『ぐるりのこと。』『ストロベリーショートケイクス』『デトロイトメタルシティ』など良質の日本映画に制作の人間として関わっている。

一時期彼女と仕事していた時期があるがとにかく”仕事ができる女”で、僕ようなへぼADはドジばかりでいつも怒られていた。近いうちに彼女がプロデューサーになってオリジナルな映画作家の作品をたくさん世に送り出す時代がくるだろう(期待している)。

同級生の才女と言えば昨日から公開されている『おかんの嫁入り』を監督した呉美保(オミポ)がいる。山下敦弘君、柴田剛君、寺内康太郎などの大学の同期がドンドン映画監督になっていく中で、小柄な彼女は全くダークフォース的な大穴であった。大学の頃は指しあたって監督として自主映画を作っていたという印象はなく、大学を出た頃は「なんか大林宣彦に弟子入りしたみたいだよ」などと聞いていた。

そんな彼女の大竹しのぶと宮崎あおいという2大女優を迎えて撮った新作『おかんの嫁入り』が昨日から東京で公開されている。前作『酒井家のしあわせ』(まだ未見)に続きまた”家族”テーマにした作品のようだ。
僕自身あまり”家族”というテーマに興味は薄く、精神が個人的で孤独な人間としては
「これかも家族をテーマに映画と作っていきたい」という彼女のインタビューを読むと「へぇ~・・・家族ねぇまぁ大切といえば大切だよねぇ、ふーん」などと思ってしまう。

家族、親子、兄弟・・・う~ん、僕はあまりピンとこないのだ。



『おかんの嫁入り』【公式サイト】
http://www.okannoyomeiri.jp/index.html
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by akazami | 2010-09-05 01:04 | 映画