風見篤史のブログ


by akazami
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『レイクサイドマーダーケース』

ここ何日か午後7時起床が続いている。ほぼきっかり12時間で目が覚める。何か起きなくてはならないという自分へのしばりががないと12時間寝るのだろう・・・。もう言葉がない。

とりあえず、RVRの「対談:クァクキョンテク監督」を見る。『友へ/チング』の監督らしいが一度も観たことがない。最近の韓国の映画事情やシステムがよく分かる。あいかわらず村上龍の質問は的確で、こっちが一番聞いて欲しいことをガンガン聞く。日本屈指の名インタビュアーに拍手を送りたい。

焼いたウィンナーを何年か振りに食べた後、青山作品ながら”サスペンススリラー”ということであまり気が進まなかった『レイクサイドマーダーケース』のDVDを観る。・・・!!。これがまた予想を遥かに凌ぐ素晴らしさに鳥肌が全身にはしる。とにかく、まあ「面白い」。原作があの東野圭吾だとエンドクレジットで知るが、それにしてもミステリーの面白さを久しぶりに感じる。映画の序盤で殺人事件の犯人がわかるんだけど、怪しい複線のカットなどでこのまま終わるわけはないとじっと話を追っているとやはりどんでん返しが来て衝撃の結末へ。不必要なシーンが全くな無く、最後まで緊張が途切れさせないのがすごい。湖畔の吸殻が消えている意味や犯行時間が不明瞭なところなど細かいディティールの整合性がないのは気になるが、青山監督はそういうミステリーとしてのカタルシスよりも、現代の閉塞した家族像や親子の愛情と超えられない距離といったテーマ性に主眼を置いているのだろう。子供の感情とは全くかけ離れたところで親の子供への愛は暴走し、一瞬で正常者を異常者へ変貌させてしまい、そしてその”絶対的な愛”が正常者を殺してしまう。”親の絶対的な愛”は経験的に非常に分かる感情のひとつだが(意外と少ない)、これは「狂気」になりうるということを痛感・・・。最後に役所広司がこれは異常なことだと理解しながらそれを受け入れてしまうラストは本当に恐ろしい(その後の湖の上を彷徨う被害者の幽霊とライターが入った腐敗した死体のカットはミステリーの要素であって、真の怖さを弱めてしまっている気がする)。

青山真治の素晴らしさはその深いテーマ性や映像のイメージ力といった「才能」によるところが大きいと思っていたが、この作品は明らかに「映画を撮る技術」の力を感じる。やっぱり数をこなすことで「技術」は向上するのだろう。技術で撮った作品だと思うけどある意味「才能」が圧倒的にキラキラしているデビュー作『Helpless』よりもすごいのかも。”才能と技術”、”技術あっての才能”、”才能あっての技術”・・・うーん、どうなんだろ?才能だけでは作品は作れないし、技術だけで才能がないと面白いものは作れない。あー・・・。

でも『EUREKA』という決定的な傑作と撮ってしまっているこの監督は今後これを超える映画を撮れるのだろうか?余計な心配だけど”青山真治”というとそう思ってしまうの僕だけか・・・c0107704_6261522.jpg
【2005年1月公開】
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by akazami | 2007-01-31 06:32 | 映画