風見篤史のブログ


by akazami
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『SRサイタマノラッパー』

2010年10月3日(
『SRサイタマノラッパー』
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今日は買い物などやりたいことがいくつかあったが、床屋で髪を切った、革靴を買おうとするが持ち合わせが足りず、コンビニでお金を下ろしたあたり力尽きてしまい、グッタリと疲れ結局靴も買わずに家へ帰る。平日の疲れが残っているのだろうか?今日は朝からなぜか体と頭がだるい。

DVD『SRサイタマノラッパー』(監督:入江悠)を観る。
仕事せいもあるが随分と映画を観ていなかったので、新鮮な気分で画面を見ていた。
この映画は2009年の日本インディーズ映画の話題を独占し、自主制作ながら大ヒット記録し、異例の全国公開を遂げ、監督の入江氏は日本映画監督協会新人賞を受賞した2009年の日本映画の重要作品。ゆうばりファンタでもオフシアター部門グランプリを受賞している。

非常に評価の高い話題作だったのでずっと観たいと思っていたのだが、やはりこれがいい。抜群に面白いし、タイトルから想像するものよりずっと”本気の”映画で、僕は主人公の熱い情熱に目を熱くし、ラストのラップ対決には大泣きになった。

前半の「埼玉から世界に届け、このライム!」とばかりにユーモア溢れる展開だが、やがて音楽へのとめどない情熱と地方の現実狭間で、彼らは苦悩しグループも崩壊していく。HIPHOPへの熱い思いは誰にも負けないが、社会的な大人としての社会の視線は厳しくIKKUは自分の状況に自信が持てず、すべてが中途半端なままのグループは崩壊の一途を辿る。

地元に戻ってきたAV女優は自分のしてきたことにプライド持っているが、それでも田舎の人間の視線は冷徹で厳しく、地元から弾き出される様にまた東京に戻っていく。IKKUに弱いところは一切見せないが、大きなかばんを持ち上げて駅の階段を上るその背中に涙がでた。

ラストで酒屋でバイトを始めたIKKUの所に土方の新人として地味に働き始めたTOMが客としてやってくる。ここで2人は切実な、どうしても譲れない、本気(マジ)の思いをラップに乗せて爆発させる。このラストの対決のシーンは圧巻で涙が止まらなかった・・・。

何かをやりたいと若者の本気の思いと地方の現実。この映画の切実さには背筋が凍る思いで、とても笑えない。タイトルからは想像できないほど”マジな”青春映画だ。

崩壊していく将軍たちや元AV女優、そして才能はあるが体が弱い竹田先輩・・・。茨城の田舎でヤンキーと老人に囲まれながら、実家の部屋で一人ゴダールを観ている自分。そんな自分と彼らの感情がいろいろな部分で重なり、リアルすぎるくらいリアルで、涙が止まらなかった・・・。

将軍の苦悩は入江監督の苦悩であり、映画を観ている僕の苦悩でもあるのだ。
入江監督は『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー傷だらけのライム』を既に完成させ、『SR3』の企画も進んでいるという。若く熱い映画監督である。

映画、音楽、文学。クリエイティブへの熱い思いは東京も地方も関係ない。その人の中に自分を騙し切れない”本気(マジ)”の思いがあるかないか、きっとそれだけだ。HIPHOPを通して最も大事なことを表現してる、それが映画『SRサイタマノラッパー』である。



c0107704_3364081.jpg『SRサイタマノラッパー』(09年/日本)
監督:入江悠  ★★★★
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by akazami | 2010-10-04 03:38